血圧を上昇させるホルモンは様々で一般にアドレナリン・ノルアドレナリン・コルチゾールと言われています。
これは正しいことですが、今回は血圧の本質を医学の視点から解いていきます。
血圧は末梢血管抵抗と心拍出量(心拍数×一回拍出量)の積です。ストレスを感じた時、運動をする時、交感神経作用など、血管収縮や血流量増加のため血管抵抗は高まり血圧が上昇します。
血流量及び血圧が低下及び血圧を上昇させる何らかの理由により、肝臓から「アンギオテンシノーゲン」が分泌されます。
その「アンギオテンシノーゲン」が、腎臓から分泌される「酵素レニン」というホルモンと反応し、「アンギオテンシンⅠ」に変換されます。
さらに、肺毛細血管内からの「ACE(アンギオテンシン変換酵素)」により「アンギオテンシンⅡ」に変換され、「アンギオテンシンⅡ」とともに、副腎皮質から分泌される「アルドステロン」の作用により、血流量及び血圧を上昇させます。
副腎皮質
・糖質コルチコイド(コルチゾール)
・鉱質コルチコイド(アルドステロン)
・副腎皮質アンドロゲン(性ホルモン)
があります。
酵素レニンを皮切りに、最終的にアルドステロンにより血流量及び血圧が上昇することが分かります。
アルドステロンは、腎臓でのナトリウム再吸収(カリウム排泄)を促し、水の再吸収を促進させることで血圧の正常化に導いたり、血圧を上昇させたりしています。
これらのことから、血圧を上昇させるホルモンはコルチゾールよりも酵素レニンやアンギオテンシノーゲンやアルドステロンによる作用が大きいものと考えられます。
一般に血圧を上昇させるホルモンはコルチゾールなのでストレスを溜めないようにと言われていますが、血圧が正常化しない理由はそこではなく、コルチゾールやアドレナリンよりも見落としてはいけない分泌ホルモンは他ならぬ酵素レニンやアルドステロンです。
特に酵素レニンは腎臓からの影響を受けやすく、肝臓や循環器系も間接的に影響します。(血液の60%は肝門脈から肝臓に流入しますが、血流量の影響により腎臓の血流変動を受けやすく、腎臓機能そのものに影響します。)
腎臓は特に細い血管が流入し、腎動脈から弓状動脈~小葉動脈、更に輸入細動脈に流入します。いわゆる腎小体(糸球体+ボーマン嚢)といわれるところです。腎臓はこのように細い血管のため末梢血管抵抗の影響を受けやすく、動脈硬化や血流量の低下により、腎臓は血流及び血圧が低くなったと勝手に認識するため、酵素レニンを分泌してしまいます。
つまりは、血圧を下げるよりも動脈効果や血流が悪くなった原因を突き止めないと、根本的に血圧を正常化することは不可能。
また、肝臓からのアンギオテンシノーゲンは肝硬変や脂肪肝でも分泌されるホルモンにより、肝機能障害や低下によっても分泌機能に影響しません。この場合だと、コルチゾールやアドレナリンよりも、アンギオテンシノーゲンの作用が強くなります。つまりは肝機能を回復若しくは正常化しなくては血圧の正常化は不可能。
などなど様々ですが、
血圧が高い=コルチゾールやアルドステロン ×
血圧が高い=根本的な原因を突き止める ○
ということです。
今回は医学の視点でのみ少しお話しました。
今後パーソナルトレーナーは、医師と対等に話せるような何かに特化したトレーナーが必要です。
私がこれまでの経験で感じたことは、医師と対等に話せるパーソナルトレーナーは非常に少ないのが現状です。私のお客様で医師がいますが、このような理由から私に安心してトレーニングを任せて頂いています。
色気ソムリエ 代表
法貴 博光(Hiromitsu Hoki)